「ベチャ押し」って使っていいの?
片手erにとって運指の悩みは付き物です。
指が7本あったら良いのにと、皆さん常々思っているのではないでしょうか。
そんな悩みを解決する手段として、ベチャ押しが存在します。
ベチャ押しとは、文字通り鍵盤をベチャっと押すことです。
具体的には、指を寝かせて第一関節以降を用いて打鍵します。
両手SPをプレーされている方はS+13の処理として馴染みがあるかと思いますが、片手SPでは主に56絡みの処理で重宝されています。
見栄え等の観点から賛否両論のあるベチャ押しですが、本記事では使用場面や特徴について解説していきます。
使用場面
主に下記のケースが挙げられます。
- ホームポジションで処理できない同時押し譜面
- 鍵盤に対応する指が不足する同時押し譜面
- 間隔の狭い階段譜面
1.ホームポジションで処理できない同時押し譜面
ホームポジションとは、手を自然な形で鍵盤に置いたときのポジションで、7個の鍵盤を左から1~7でナンバリングした際、12467または13457に相当します。
<ホームポジションで押せる同時押しの例>
- 246
- 147
- 1346
- 1267
<ホームポジションで押せない同時押しの例>
- 123
- 567
- 3456
- 12345
大抵の同時押しはホームポジションで押すことが可能ですが、左右に偏った同時押しはホームポジションでは押せません。
対応する手段としては、「ホームポジションを崩して運指を組む」か「ホームポジションに近い形を維持したままベチャ押しする」が候補になります。
<運指の例>
- 123(親人中)
- 567(中薬小 or 薬中小 or 親薬小)
- 3456(親人薬中 or 親中小薬)
- 12345(親人中薬小 or 人中親薬小)
<ベチャ押しの例>
- 123(親人)
- 567(薬小)
- 3456(人中薬 or 親中薬)
- 12345(親人中薬)
このケースの譜面例は以下です。
2.鍵盤に対応する指が不足する同時押し譜面
人間の手の指は5本なので、6個または7個の同時押しはベチャ押しを使うしかありません。
<ベチャ押しの例>
- 123456(親人中薬)
- 234567(人中薬小)
- 123567(親人薬小)
- 134567(親人中薬小)
- 1234567(親人中薬小)
このケースの譜面例は以下です。
3.間隔の狭い階段譜面
ノーツ間隔の狭い階段譜面がホームポジションで押せない配置で降ってくると、運指を組むのが間に合わないことがあります。
その場合は、タイミングを微妙にずらして撫でるようにベチャ押しするという選択肢があります。
このケースの譜面例は以下です。
長所と短所
下記表に、「ベチャ押し」と「運指対応」の特徴を示しました。
観点 | ベチャ押し | 運指対応 |
---|---|---|
効率 | ○ | × |
速度 | ○ | × |
精度 | × | ○ |
負荷 | × | ○ |
「効率」は一つの指で処理できる鍵盤の数です。
一つの鍵盤に一つの指を割り当てる運指対応に比べ、一つの指で二つの鍵盤を処理できるベチャ押しは指を節約してリソースを確保できるため、後続の譜面に対してとれる選択肢が増えます。
「速度」は認識から打鍵にかかる時間です。
ホームポジションから指を移動して運指を組むのに比べ、ホームポジションからあまり形を変えずに出せるベチャ押しの方が打鍵までの時間は短いです。また、運指で対応する場合は後に続く配置によっては指の移動距離が遠くなるケースがありますが、ベチャ押しの場合は指と鍵盤の関係はほぼ固定のため、指の移動距離が遠くなることはありません。
「精度」は打鍵ミスの発生率です。
ベチャ押しは指の独立性を保つのが難しいため、打鍵対象ではない鍵盤に誤って触れてしまう可能性があります。特に、軽い設定の鍵盤だと誤打鍵が起きるリスクが大きいです。
「負荷」は指にかかる負担です。
ベチャ押しは、指を伸ばしたり手首を下げるという動作を伴います。
これは手に負担のかかる押し方であり、運指対応に比べて怪我のリスク(腱鞘炎等)が増える恐れがあります。
まとめ
ベチャ押しにはベチャ押しの良さ、運指対応には運指対応の良さがありますので、場面や目的によって使い分けができるとプレーの幅も広がりそうです。
ただし、上記で述べたようにベチャ押しには少なからず怪我のリスクがあることは忘れてはいけません。
使用する際は、適度な休息とプレー時間を心がけましょう。