片手プレー研究所

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BeatmaniaIIDXの片手プレーに関する記事を投稿します。

BeatmaniaIIDXにおけるクソ譜面の考察

音ゲーマーの間で、ふとしたきっかけで巻き起こるクソ譜面談義。

皆さん、口々にクソ譜面というワードを発しますが、そもそもクソ譜面とはいったい何なのでしょうか。

(※このブログは片手er向けですが、本記事は全てのプレーヤーに向けたものです)

 

譜面の解釈

先日、Twitter上でこのようなアンケートを採りました。

 

個人的に、よく叩かれているなと感じる譜面傾向を選択肢として並べたものです。

アンケートの仕様で複数選べないという制約があるものの、音楽シミュレーションというジャンルである音ゲーにおいては、音階・リズムの表現を重視する意見が目立ちました。

(※自分が押せない譜面という解釈も稀に見受けられますが、評価が個人の地力に依存する為、今回の選択肢に含めていません)

譜面例

上記に挙げた譜面の例をご紹介します。

譜面例① とにかく配置が単調な譜面

主旨:繰り返しが多い、譜面パターンの変化に乏しい
傾向:フレーズのバリエーションが少ない楽曲

数小節にわたって全く同じ配置が繰り返し登場することを揶揄し、コピペ譜面と言われるものです。
音ゲー楽曲の尺は約2分間。執拗に同じ配置を繰り返されるとプレーヤーは飽きてしまいます。
繰り返しがメインとなっているミュージックジャンルの音源を落とし込むと、変化の少ない退屈な譜面になりやすい傾向にあります。

 

譜面例② 音階やリズムを軽視した譜面

主旨:音階・リズムの表現不足、アサイン対象が分かりにくい
傾向:初級者向けの譜面

音ゲーは、プレーヤー自身の能力を育成していくことでプレーの幅が広がるという性質を持ち合わせている為、ライトユーザーに比べてヘビーユーザーが多く、後者の需要を満たさなければ利益を獲得できません。したがって、ヘビーユーザーの選曲率が高いと見込まれる楽曲・譜面の品質を開発陣は重視するでしょう。

その為、ライトユーザー向けの譜面に対する作業工数の割り当ては必然的に少なくなり、工数削減の手段として上位譜面の再利用やレビューの簡略化を行うことにより、下位譜面の品質確保が難しくなるのだと思います。

 

譜面例③ 生物力学を考慮していない譜面

主旨:人間の運動能力では譜面通り押せない(最高判定が取れない)
傾向:古い作品の楽曲、細かい間隔の音符が登場する楽曲

昔は、DP譜面は一人プレーではなく二人プレーを想定して譜面が作られていることがあった為、物理的に手の届かない距離にある鍵盤と皿のノーツが同時に置かれる譜面(無理皿譜面)が昔の楽曲に多く存在しています。現在ではDPの一人プレーが主流となり、その傾向は薄れました。

また、現在でもDPの高難易度譜面にはSPの譜面がそのまま片側のレーンに流用されていることがありますが、基本的にDPではSPのように7+1レーンに両手のリソースを割けるわけではないため、仮にオプションを使用したとしても解決しない困難な譜面配置が生まれてしまうことがあります。開発陣にはこの辺りの理解が浸透していないように見受けられます。

Liberation (DPA)のように、SPの32分トリルがDPでは同色階段に変わっているものもあります。

 

譜面例④ 曲調に似つかわしくない密度の譜面

主旨:曲調から想像できない過密な譜面
傾向:イベント用のボス楽曲、高難易度譜面ありきの楽曲

シリーズの中頃から解禁イベントやボス曲といった概念が生まれ、高難易度需要が加速しましたが、曲調にそぐわない譜面や高難易度譜面を前提とした楽曲が散見されるようになりました。

 

原因

上記で紹介したような品質の悪い譜面は何故生まれてしまうのか、原因を考えてみます。

原因① 使用楽曲が音ゲーに適合していない

譜面例から、曲中のフレーズや音源のバリエーションは、作成する譜面のバリエーションにも少なからず影響を与えることがわかります。
最近の傾向として、2分間の中で目まぐるしく変化する展開、豊富な音源数を持つ楽曲が多いですが、そうした楽曲であると譜面作成の幅も広がるでしょう。
ただ、テクノやミニマルなど変化の少ないミュージックジャンルでも、譜面作成者の技量により単調さを排除した面白い譜面が作られているのもまた事実です。

 

原因② 開発陣の譜面作成技能が標準化されていない

同じ作品または楽曲の譜面で、傾向及び品質にばらつきがあることから、技量に差がある複数の担当者で譜面作成が行われていることが想定されます。
高品質な譜面作成が可能である担当者が持つノウハウを他の担当者に共有できれば、品質のばらつきはもう少し抑えられるのではないでしょうか。

 

原因③ プレーヤースキルの変化

シリーズを重ねるにつれ、平均的なプレーヤースキルも向上します。
高段位を取得している上級者を中心に高難易度譜面の需要は増え続けていますが、そうした需要に応えるだけの為に作られた楽曲及び譜面が、演奏感や品質の低下を招いていると思われます。

 

まとめ

クソ譜面認定されてしまった楽曲(特に低難易度)は、例え曲が良くても次第に選ばれることが減り、開発側も需要が無いと判断していずれ削除されてしまうでしょう。

しかし、考え方を変えると、同じ配置が何度も登場するということは苦手配置に効率よく触れられるということでもあるので、その特性を活かして練習に用いることも検討してみてはいかがでしょうか。

また、音ゲーにおいて難易度インフレは避けられない事象ですが、音楽シミュレーションゲームと銘打っている以上、認識難やフィジカル難でごり押すような手法は、企業が提供する製品であるという自覚を持って、控えていただきたいと思います。

令和に突入してもなお発展を遂げるBeatmaniaIIDX、開発スタッフの方々の更なるご活躍に期待しています。